ランニング用語集

走り始めると、いきなり知らない言葉が出てきます。「サブ3」「テーパリング」「LT」。この用語集は、そうした67語を初心者にもわかる日本語で説明したものです。とくに誤解の多い用語については、いまの科学でどう理解されているかまで書きました。

あ行

アイシング
練習後、痛みや腫れのある部位を冷やすこと。15分程度が目安。氷を肌に直接あてず、薄い布や袋越しに。
厚底シューズ
ソールが厚く、内部に反発性の高い素材やプレートを入れたシューズ。走る効率を高める設計で、近年の主流。ただし脚の使い方が変わるため、慣れないうちは短い距離から試したほうがよい。
インターバル走
速く走る区間とゆっくり走る区間を交互に繰り返す練習。「1km×5本、つなぎ200mジョグ」のように表記する。心肺機能を高める代表的なメニュー。
ウィンドスプリント
100m前後を全力の8割ほどで数本走ること。練習の最後に入れると動きが軽くなる。日本では「流し」と呼ぶことが多い。
ウェーブスタート
参加者を申告タイム順にいくつかの組へ分け、時間差でスタートさせる方式。序盤の混雑を減らせる。
エイドステーション
コース途中の給水・給食ポイント。給水所とも呼ぶ。水やスポーツドリンクのほか、大会によってはバナナや菓子が置かれる。
エネルギージェル
レース中に摂るゼリー状の補給食。糖質を短時間で補える。水と一緒に流し込むタイプが多い。
オーバートレーニング
練習量に回復が追いつかず、疲労が抜けなくなった状態。タイムが落ちる、朝の心拍数が高い、眠りが浅い、やる気が出ないなどが兆候。休養以外に解決策はない。
オーバープロネーション
着地したときに足首が内側へ倒れ込みすぎる動き。シューズを選ぶ際の目安のひとつ。
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か行

カーボローディング
レース前に糖質を多く摂り、筋肉に蓄えるグリコーゲンを増やしておく方法。現在は体重1kgあたり10〜12gの糖質を、レース前36〜48時間で摂る形が主流。1960年代に広まった「いったん糖質を枯渇させてから摂る」手順は不要であることがわかっている。
関門
コース途中に設けられた通過制限時刻。全体の制限時間に余裕があっても、関門に間に合わなければその場で競技終了となる。大会要項で位置と時刻を必ず確認しておきたい。
給水
レース中に水分を補給すること。喉が渇いてからでは遅く、序盤から少量ずつ摂るのが基本。
記録証
完走者に発行されるタイムの証明書。近年は後日ウェブからダウンロードする方式が多い。
クールダウン
練習やレースの後に行う、ゆっくりしたジョグや軽い運動。急に止まらず体を落ち着かせる。単に「ダウン」とも言う。
グリコーゲン
糖質が筋肉と肝臓に蓄えられた形。マラソンの主な燃料だが、蓄えられる量には限りがある。
グロスタイム
スタートの号砲が鳴ってからゴールするまでの時間。後方からスタートすると、その分だけ不利になる。
ケイデンス
1分間あたりの歩数。日本では「ピッチ」と呼ぶことが多い。180前後が目安として語られるが、体格や走力によって適正は変わる。
高地トレーニング
標高の高い場所で行う練習。酸素の薄い環境に体を適応させることを狙う。
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さ行

サブ3・サブ4
フルマラソンを3時間未満、4時間未満で走ること。「サブ」は英語のsub(〜未満)から。サブ3.5は3時間30分未満、サブ3.15は3時間15分未満を指す。小数点以下の読み方が2通り混在しているため、時間そのものを併記すると誤解が少ない。
サブエガ
2時間50分未満で走ること。芸人・江頭2:50の名にかけた俗称。
サブリノ
3時間45分未満で走ること。3・4・5を「さ・し・こ」と読み、タレント・指原莉乃さんの愛称「さしこ」にかけた俗称。当サイトの目標一覧では「サブ3.45」と表記しているものと同じタイム。ほかにサブシュガー(3時間10分未満・砂糖)、サブパイ(3時間14分未満・円周率)など、語呂合わせの呼び名がいくつもある。
30kmの壁
30km前後で急に脚が動かなくなる現象。蓄えていたグリコーゲンが尽きることが主な原因で、補給とペース配分で軽くできる。
心拍数
1分間あたりの心臓の拍動数。練習強度を客観的に測る目安になる。朝起きた直後の値が普段より高い日は、疲労が残っているサイン。
ジョグ
ゆっくり走ること。となりの人と会話できる程度の強度が目安。練習の大半はこの強度で構成される。
スタートロス
号砲からスタートラインを越えるまでにかかった時間。大規模な大会では20分を超えることもあり、その分だけ持ち時間が削られる。
ストライド
一歩あたりの歩幅。走る速さは「ピッチ×ストライド」で決まる。
ゼッケン
胸や背中につける番号札。正式にはナンバーカードと呼ぶ大会が多い。
走行距離
走った距離の合計。とくに「月間走行距離」はマラソンの記録と関係が深く、練習量を測る基本の指標。
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た行

タイムトライアル
練習として一定の距離を全力で走り、タイムを測ること。現在の走力を知るために使う。
テーパリング
レース前に練習量を計画的に減らして疲労を抜くこと。2〜3週間かけるのが一般的で、距離は減らしても強度は保つのが定石。
電解質
汗とともに失われるナトリウムなどのミネラル。水だけを大量に飲むと不足し、かえって不調を招くことがある。
ドロップ
シューズのかかととつま先の高さの差。数値が小さいほどフラットな設計になる。
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な行

流し
ウィンドスプリントの日本語での呼び方。100m前後を軽く速く走ること。
ナンバーカード
ゼッケンの正式な呼び方。
乳酸
糖質が分解される過程でできる物質。かつては疲労の原因物質と考えられていたが、現在は再び利用できるエネルギー源と理解されている。「乳酸が溜まるから疲れる」のではなく、「疲れる強度で走ると乳酸が増える」というのが正しい順序。
ネガティブスプリット
後半を前半より速く走る展開。理想的な走り方とされる。
熱中症
高温下で体温の調節が追いつかなくなる状態。めまいや吐き気を感じたら、我慢せず走るのをやめて救護所へ。
ネットタイム
自分がスタートラインを越えてからゴールするまでの時間。混雑の影響を受けにくい。
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は行

ハーフマラソン
21.0975km。フルマラソンのちょうど半分の距離。
ハンガーノック
エネルギー切れによって急激に体が動かなくなること。補給が足りないと起きる。
ビルドアップ走
走りながら段階的にペースを上げていく練習。後半に集中力を保つ訓練にもなる。
ピッチ
ケイデンスの日本語での呼び方。1分間あたりの歩数。
ファルトレク
地形や気分に合わせて速さを自由に変えながら走る練習。スウェーデン語で「速さの遊び」の意味。
フォアフット/ミッドフット/ヒールストライク
着地のときに足のどこから地面に触れるか。順に前足部、足裏の中央、かかと。どれが優れているとは一概に言えず、走力や体格によって適した形が異なる。
フルマラソン
42.195kmを走る競技。ハーフマラソンなどと区別するための呼び方で、単に「マラソン」とも言う。
ペース走
決めた一定のペースを保って走る練習。レースのペース感覚を体に覚えさせる。
ペースバンド
目標タイムの通過時刻を書いた紙やシール。腕に巻いたり貼ったりして使う。
ペースメーカー
目標タイムのペースで走り、集団を引っ張る役。大会では風船を付けていることが多い。
ポジティブスプリット
後半が前半より遅くなる展開。多くのランナーが陥る。
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ま行

マラソン
42.195kmを走る競技。もとは古代ギリシャの故事に由来する。
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や行

有酸素運動
酸素を使って脂肪や糖質をエネルギーに変える運動。マラソンの土台になる。
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ら行

ラップタイム
区間ごとに計測したタイム。1kmごとに測ることが多い。
ランナーズハイ
走っている最中や直後に多幸感が訪れる現象。長らくエンドルフィンが原因とされてきたが、近年の研究では別の物質エンドカンナビノイドの関与が大きいと考えられている。エンドルフィンは血液から脳へ移りにくく、多幸感を説明しきれないため。
ランニングエコノミー
同じ速さで走るのに必要な酸素の量。少ないほど効率がよく、同じ心肺能力でも速く走れる。
レペティション
インターバル走より長い休息をはさんで、速い区間を繰り返す練習。
ロング走
長い距離をゆっくり走る練習。LSDとも呼ぶ。フルマラソンに向けた土台づくりの中心になる。
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わ行

ワセリン
摩擦による擦れを防ぐために塗る保護剤。脇、股、乳首、足指の間などに使う。
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A–Z

BMI
体重(kg)を身長(m)の2乗で割った値。体格の目安として使われる。
DNF
Did Not Finish。途中棄権のこと。
DNS
Did Not Start。エントリーしたが出走しなかったこと。
LSD
Long Slow Distance。ゆっくり長く走る練習。
LT
Lactate Threshold(乳酸性作業閾値)。ペースを少しずつ上げていったとき、血液中の乳酸が急に増え始める境目。この付近の練習が持久力を高めるとされる。
PB/PR
Personal Best/Personal Record。自己ベスト記録。
RPE
Rate of Perceived Exertion。自覚的運動強度。「どのくらいきついか」を自分の感覚で数値化する指標。時計がなくても使える。
VDOT
ジャック・ダニエルズが考案した走力の指標。レースタイムから算出し、練習ペースの設定に使う。
VO2max
最大酸素摂取量。1分間に体へ取り込める酸素の最大量を、体重1kgあたりで表した値。持久力の基礎的な指標。
WBGT
暑さ指数。気温・湿度・輻射熱から計算し、熱中症の危険度を示す。数値が上がるほどタイムは落ちる。
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生理学に関わる用語は、査読論文および専門機関の解説にもとづいて記述しています。主な参照先:マラソンの栄養戦略(Burke, Sports Med 2007)ランナーズハイとエンドカンナビノイド(Siebers ほか 2023)RUNNET ランニング用語辞典。確率の計算に使っている研究は「算出方法」のページに、使用箇所つきでまとめています。

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